2009年7月ドイツ汽車の旅

 ユーレイパス(ユーラシア・レールパス)を日本で買ってから行こうかとも思ったけれど、(1日4000円代)はちょっと高い。近くへの移動の日はもったいないので 駅の自動券売機で都度買うことにした。ホテルはパソコンから予約を入れた。現地の天気を見てびっくり。こっちより暑い31度・・・・、涼しいのが嬉しくて行くドイツなのにー。それでも湿度は日本より低いことに期待して。

 去年のドイツ旅行時はユーロが170円以上で、今年は132円はありがたいし、それに燃油チャージもない。夫はドイツが初めてでケルンの大聖堂に行きたいと、私はマインツのシュテファン大聖堂に行ってみたい。汽車の旅は小荷物がベター(自分のトランクは2〜3日用)夫のトランクに2回分の「緑のたぬき」やおせんべい、私のくるくるドライヤー、湯沸かしポットなどを詰めて気まま旅は始まった。


たぶんこのホームでいいはずだ

フランクフルト・マイン駅

 空港から電車(Sバーン)で15分(やはりチケットとホームを探すのに少し手間取ったけれど)フランクフルト駅。以外と小さいのに驚き。予約のホテルの周りはトルコ人の店だらけ。着いたらビールと思っていた私たちの喉にとっては トルコ系のレストランのコーラなんか許せるはずもない。でも1件のビールが飲めるレストランはお客さんでいっぱい。

 うろうろしたけど、結局混んだレストランの外のテーブルに落ち着いて、地ビールと何を食べたっけ?。やっと暗くなるのは11時ごろ。ホテルは30度を超える室内にクーラー、ないの?えーっ、140€なのにー。窓を開けたらうるさいし。初日だから駅の近くを選んだせいだ。2〜3時間うとうとして朝が来た。


ライン・クルーズ ブドウ畑も

次々現れる両岸の古城
 電車で30分のマインツはライン下りの出発点。グループツアーの人たちはハイライトゾーンの始まるリューデスハイムから乗り込むけれど、予約もしてない私たちはその1時間半前の町マインツから乗ることにしていた。朝食はホテルフィーに入っているのに7時からでは遅くて、前夜買ったバナナとパンで済ませた。電車・タクシーでやっと船着場に着とすぐにKDラインは船出した。5分もしないうちに川の両岸に美しい町や古城の姿が現れた。川風は気温の高さを忘れさせてくれたし、デッキで飲んだビールの味も何とも言えなかった。下船の少し前には歌で有名なローレライの岩が現れ(アナウンスがなかったらとそれと気付かなかったが)、そこは流れが複雑な難所で、あの詩のような伝説が生まれたと、見て納得した。


世界遺産ケルン大聖堂

大聖堂前のカフェで地ビール
 コブレンツで下船して、ランチを食べて、店にトランクを預けて町を散策した。50分電車に乗ってケルンに到着。宿に荷物を置いて電車にひと駅乗ると、あこがれの大聖堂が現れた。大二次世界大戦で一部が破壊され、1950年代の懸命な復興作業で修復された建物の中には7つもの礼拝堂があるそうで、509段昇る塔の一番上にある鐘は世界最大の大きさだとか。筋肉痛が怖くて登れなかったけど。天井がすごく高くて、パイプオルガンもすごく大きくて3つもあったし、ステンドグラスも美しかった。町の人々へのミサが行われていた。宝物館に入ってみると、お宝のまばゆい黄金と宝石の数々に目がくらんだ。16〜19世紀のこの町の繁栄に驚かされた。それにしても当時の大司教は大きな権力を持っていたに違いない、装束や持ち物の宝石の大きさに驚くばかりだった。
 大聖堂の目の前のカフェでケルン産のビールとソーセージの盛り合わせを注文した。


ゲイ・パレード

町はお祭りムード
 ケルンってゲイの人が多いねー、ヨーロッパは多いって聞いてたけど。それにしても黒っぽいハードロック?ヘビメタ?の人の多い街だねーと何度も思った。
 ケルンは3連泊。朝ホテルを出ると近くの橋には人がいっぱい。何があるの?大聖堂関係のお祭り?人が多くて歩き辛い。皆さんパレードを待ちながらビール飲んだり、道端で熱いキスしたり。美術館の道を聞くついでに「何のパレードが来るの?」と聞いてみると、やっぱり。ゲイのパレードと言う言葉が返ってきた。そうだよね、ゲイの皆さんがいつも以上に集まって来てたんだよね。ちょっとパレードを待ってみた。ドラムの爆音と共にサイボーグのように造った体の人や やはり不思議な風景がやってきた。見てる人たちも上半身はニップレスの人とかお尻の中身の見える皮パンの人とか、なかなかふしぎな世界で楽しめた。少子化が進むのは日本だけじゃないね・・・。


課外活動

ベートーベンハウスの中庭

 ドイツ最古の町トリアーにたどり着くと石に並んで座ってアイスクリームを食べるわんぱくちゃんたちが可愛かった。6月から夏休みだからかいろんなところでこんなグループに出会った。両親は働いているから3か月の間に町の博物館や自然の中でいろんな活動するのかな。

  学生の町ボンのベートーベン・ハウスにも行ってみた。写真禁止で見ただけだけど、オリジナルの楽譜や手紙が展示されていた。楽譜が読める人には何の曲かわかるのかも知れない。ベートーベン好きの娘なら感激の場所だったに違いない。私は静かな中庭のツタが美しい空間が気に入ったけど。



ハイデルベルグの町

ハイデルベルグ城

 ケルンからICE(新幹線みたいな特急)でマンハイムまで2時間、乗り換えて15分でハイデルベルグに着いた。ホテルの出窓からはライン川と遠くにお城が見えた。ゲーテやショパンも訪れたドイツ最古の大学の町らしい。 お城までの道が急な坂でやっと登ったら帰りはすごい夕立に合ってしまった。この日は一日降ったり照ったり。お城の反対側の丘までは「哲学者の道」と地図にあった。知的な道かと思ったら細くて急で長いエクササイズな道だった。なまった体にはすごくこたえたけれど 登り切るとこの左の写真が撮れた。坂を下りてカフェの中庭で食べたりんごのタルトは美味しかった。



レーマー広場

レーマー広場のお祝い

 フランクフルトに戻って、この日はお日柄でもいいの?この広場で5つの結婚式のグループを見たけど、そのうち2組はできちゃった婚。流行ってるの?それって日本だけのことじゃないのね。女性が仕事しててなかなかな結婚に踏み切れない、きっかけはベビーね。


グーテンベルグ博物館

人なつこいわんこ

 旅も最終日はまたマインツに戻ってこれた。グーテンベルク博物館は印刷技術の発展を世界中で使われてた機械や道具を量も内容的にも見事に展示して見せていた。入った途端に日本の浮世絵もあるに違いないとわくわくさせられた。パピルスの時代から最近のものまで。一番奥の日本・韓国・中国のコーナーには紙すきの伝統から文字・印鑑・印刷物が展示されていた。世界最古の印刷物と書かれたものは日本のものだった。浮世絵の写楽も誇らしかった。ここも撮影禁止。ここの€5はとても価値があって有意義な時間だったと思う。ライン川沿いの散歩道で、バーディー似の(飼ってた犬)わんこは何度も後ろを振り返ってくれた。日本語で話しかけた変なおばさんに興味わいたの?



シュテファン大聖堂のシャガールのステンドグラス

アダムとイブ

 この大聖堂は900年代に建てられ、ステンドグラスは40年前にシャガールが晩年の10年をかけてデザインしたそうだ。何年か前にテレビでこの大聖堂のことを見た。でもマインツと言う町を私は知らなかったから 行く機会はないだろうとガイドブックで見るまで忘れていた。なんとすがすがしく美しいブルー、涙が出そうになった。シャガールは旧・新約聖書からテーマを引き出したらしい。彼はユダヤ系の人、いっこうになくならない戦争を憂い、平和を願って心をこめて作ったに違いないと、しばし幸せで静かな気持ちでそこにいた。なごりおしいシュテファン大聖堂に別れを告げると俗世の住人の私たちは空腹を感じた。



ブリューワリー(ビール工場)のレストラン

なんとも言えないいい香りのビール

 旅の最後はやはりビール。ここのビールが一番美味しかった。ビールは鮮度がいいと香りがいいらしい。それにしてもドイツの料理は量が多くて、二人で一皿でちょうどよかった。最後までデザートやコーヒーにまでたどり着けず、食費は安く上がった。平均身長が日本人より20cm以上も高いドイツ人はたくさん食べるんだね。

 3日目から気温も18〜25度ぐらいに下がって楽になった。駅の立ち食いのホットドッグ、広場の出店で切ってもらった2€50(330円ぐらい)生ハム、コンビニみたいな所で2€20で買ったいちご、どれも美味しくて忘れられない味になった。改札口がないからうっかり無賃乗車したり、いろいろ面白い旅だった。簡単に行くと町の名前さえすぐに忘れる今日この頃。片寄った好みだし、こんな旅のスタイルが合ってるけど、体力的にも経済的にももうそんなに何回もできないかも知れない。